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管理人・最中義裕からのご挨拶

サイト開設ご挨拶(及び自己紹介のようなもの)
 最中義裕


  初めに告白させていただきますが、実は私は、真崎守(文中敬称略、以下同)の作品を“リアルタイムで読んでいた”とは言い難いのです。

 1960年に生まれ、ややマニアがかった兄や友人の影響もあって少年時代からまんがばっかり読んでいた私は、真崎守作品のいくつかを掲載誌で読んだ事実があり、「ジロがゆく」「明日響かず」「ろくまもん」「ホモ・ウォラント」「ロボット計画Z」等、その一部を鮮明に記憶している作品もありますが、やはり今日から振り返り見て、当時小学生だった私がそれらの作品の内容を正しく理解していたとは言い難いと言わざるを得ませんし、加えて“あの時代”の雰囲気に鈍感で無自覚だったことも否めません。

 私が真崎守作品を“自覚的に”読むようになったのは1970年代の後半で、当然ながら単行本主体となりました。「はみだし野郎の伝説」シリーズにおける先鋭的表現を前に自分なりの読解を試み、それらと「ジロがゆく」との距離が意味するものに思いを巡らせたものです。そうこうしているうちにブロンズ社から刊行された全20巻の選集(1977年12月~)、そして「風漂花」(コスモコミック掲載1978年9月~)「水滸伝」(学研グローバルコミックス描き下し1979年8月~)という集大成的作品群により、真崎守作品は私の中で不動の位置を占めることになりました。

 真崎守が精力的に作品を発表していた1960年代終盤~1970年代初頭が、ある意味特別な時代であったことは多くの方々が語っており、無自覚な少年時代を過ごしたゆえそれを実感できなかった私は、“もう10年早く生まれたかった”という想いと“逆にあと10年遅く生まれていれば、あの時代に無関心でいられたかもしれないのに”という(いささか後ろ向きながら、だからそれがどうしたんだと言う程度の)両方の想いを長く抱いて来ました。ただし、私が真崎守作品に強く惹かれたのは、その時代性ではなく、作品自体の持つ魅力故に他なりませんでした。

 作品に溢れる言葉たちが、実は語られていない部分を語るために絞り込まれている“氾濫と隠匿”。二つの等価な視点が示す、一つの結末より他に伝えるべきものがあるという事実。自分は何者かという希求と背中合わせの、既成概念や社会状況への懐疑。そして、今なお最先端を行く、実験的かつ斬新なカメラワークとコマ割りが、単に奇をてらうのではなく、心象表現として自立している。それらは、前代未聞のまんが世界として私には感じられました。

 私は、6年前の2006年6月に「落花流水~真崎守マンガ情報館」というウェブページを立ち上げました。その動機は、真崎守の偉大な業績・足跡が時の流れの中で霧散消滅してはならない、少しでもそれを後世に残す一助になりたいということと、真崎守作品情報を欲している多くの方々のお役に立ちたいことの二点でした。その後、多くの方々から情報が寄せられ、過去インターネット上に掲載されたどの資料よりも情報量で上回っているものにはなりました。しかしながら(最初からそれを目指したのだから当然とは言え)単なる資料の羅列の域を超えるには至らず、私個人からの一方的かつ一人よがりな書き捨て板に留まってしまっています。

 今回、真崎守さんと親交のある橘川幸夫さんと共に開設した「真崎守図書館」については、真崎守を愛する多くの方々が共同参加する、双方向性を持ったウェブサイトを目指したいと考えておりますし、取り上げる対象をまんが作品に限定しなくて良いのではとも感じております。 

 まだ具体的な形が出来上がっていないうちからのスタートとなりましたが、今後とも宜しく御願い申し上げます。 
(2012年8月) 

 

Web管理人・橘川幸夫からのご挨拶

サイトスタートのご挨拶
橘川幸夫

 僕は学生時代に真崎・守の作品と出会って衝撃を受け、彼の作品を神田の古本屋街で探しまくりました。単行本はもちろん、掲載されていた雑誌を探して、店頭に積まれた雑誌のバックナンバーの山と格闘していました。1冊10円で買ってきたマンガアクションやヤングコミックの古雑誌の中から真崎・守の作品だけを切り抜いてファイルにしていました。1969年の話です。


 最中義裕さんは、真崎さんの作品をリアルタイムに読んでいたのではありませんが、彼にはインターネットという武器がありました。インターネットを駆使して情報を集め、オークションで現物を確保していきました。学生時代に僕が集めていたものとは格段に違う量の情報を集めました。


 僕は幸福なことに、真崎さんの作品だけではなく、20歳の時に真崎さんそのものと出会うことが出来、個人的に交友させていただきました。20代の時代に最も影響を受けた先輩の一人でした。その交友は今でも続いています。最中さんの活動を知り、本サイトを立ち上げることにしました。


 本サイトが、一人のアーティストのアーカイブのスタイルを実現したいのと同時に、ファンの新しいコミュニティのあり方を模索出来れば良いな、と思っています。ゆっくり時間をかけて完成させていきたので、どうかよろしくお願いいたします。

 

(2012年8月)